2020年の7月に読了。その際のメモ。
2021年復習。概念を記憶し、日常業務で使用する。
- 「のれん」とは何か。無形固定資産の概念。
まず無形固定資産とは、特許やブランドのような、会社の収益力のもとになる無形の資産。
しかし、価値を正確に把握できないと、無形固定資産に価値を付与しない(会計上の保守主義の原則から、計上されない無形固定資産)。ただし買収時には、当該無形資産に値付けがされることとなり、これが「のれん」として計上される。
具体例:MicrosoftがLinkedinを買収した時の買収金額は262億ドルだが簿価は70億ドル。差額の192億ドルはのれんを含む「その他資産」に計上される。
- 企業分析の柱:流動性、収益性、生産性
- EBITとは何か。意義は?
Earnings Before Interest and Tax.
日本語で言う営業利益と考えてよい。利息、税金を控除する前なので、借入金の利率や国ごとの税率の違いを考慮することなく、本業での稼ぎを比較する際に有益。
- EBITDAとは何か。意義は?
Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortization.
減価償却費を足し戻したもの。Depreciationは有形固定資産(不動産、自動車等)に対する減価償却、Amortizationは無形固定資産(特許、ブランド等)に対する減価償却。
減価償却は、資産が時間の経過とともにどう価値を失っていくかを示す。会計上はこの点を「費用」として認識する。しかし、実際には「キャッシュ」が出ていくわけではないので、キャッシュの有無を図るためにはこの「非現金費用」を足し戻す必要がある。
これにより、金利支払い前、税金支払い前、減価償却前の、「事業により生み出されたキャッシュ」を知ることが可能。
- 営業キャッシュフローとは何か。EBITDAとの差は?
運転資金のコストを考慮するかどうか。
運転資金=流動資産ー流動負債
=売掛金+在庫ー買掛金
運転資金のファイナンスへの影響を考える際には、「時間」でみること→Cash Conversion Cycle(現金循環化日数)
ブツを仕入れて販売する。仕入れに対する支払猶予期間があり(30日)、在庫日数があり(70日)、販売した後の売掛債権回収日数(40日)がある。仕入れた後、現金を取得するまでに110日間あるが、30日後には仕入れへの支払いがある。とすると、80日間分の資金需要が発生するため、これを手当する必要あり。
設備投資資金を考慮に入れているかどうか。
フリーキャッシュフロー方程式
=EBIT
ー税金
=EBIAT
+(有形無形)減価償却費
± 運転資金の増減
-設備投資
- 資本コスト(WACC)とは何か。
価値創出の必須条件は、資本コストを上回ることが必要。どんな投資にも機会費用が存在するため、将来キャッシュフローを割引く。この割引率が資本コストと呼ばれるもの。資本コストは資金の出し手の期待収益率に依存する。
資本の種類はDebt / Equityの2種類。
WACC Formula
債務コスト=riskfree rate + 信用スプレッド
株式コスト=riskfree rate + β×市場プレミアムリスク
- βとは何か:CAPM理論
ある株が市場の動きに対してどの程度動くかを示す比率(市場全体への相関度)。システミックリスク。
リスクの量(β)とリスクの価格(市場プレミアムリスク)によって、株主資本コストを計算する(CAPM)
- WACCを使う際のありがちな誤解
1.1つの資本コストをすべての投資に利用する→✖ 何に投資するかが問題
2.債務を増やせばWACCを下げられる→最適資本構成の問題
- マルチプル
本質的には、「家を買うときの坪単価いくら」の発想。
マルチプル計算の指標はいくつかある。それぞれが何を比較しようとしているのか理解すること。
- P / E (price earning ratio / 株価収益率倍率)
- P / B (price book-value ratio / 株価純資産倍率)
- EV / EBITDA (EBITDA倍率)
簡単な計算、実際に金を払った人がいる、という強み。
比較対象の適切性や、個別事象(例:利益の質)を考慮できていない、という弱み。
- IRR
予測した将来キャッシュフローを使い、現在価値をゼロにする割引率。つまり、IRR分析は、プロジェクトが予想通りに遂行されたときの利益率。
短所:利益率に着目(価値創出ではない)、キャッシュのin/outがある場合
- 評価はアートで難しい
マルチプル、回収期間、IRRと種々の評価方法があり、また、DCFが優れているといっても、そもそも、以下の要素で評価結果は異なる。デルのMBOが好例。
- 税率
- 最適資本構成
- β
- 適切な市場プレミアムリスク
- 永続価値計算における成長率、
また、上記DCF計算式が定まったとしても、一番重要なのは将来キャッシュフロー予測であり、この算定は確率に基づいて行わざるを得ない(実際にはエイヤで決めている場合が多い?)
- 資本配分