2021.7.6
- 出版会のお粗末な常識
締切がルーズ、改善が進まない、合理性・生産性ではなく「好きかどうか」で判断する基準等、出版界の非生産的な特質が浮き彫りにされている。
この本が書かれたのは2010年頃と今から10年以上前であるため、さすがに2021年の現在は随分出版界での常識も改善されたのではないかと希望する。
- 出版界以外、大企業以外、日本以外
他方、知らなかっただけで実は出版界以外にもこうした非生産的・前近代的な組織は多いのではないだろうか。中小企業はもちろんのこと、いわゆる大企業でも相当多数の企業がこうした牧歌的な仕事の仕方をしているのではなかろうか。そして、実は日本だけではなく、世界中こうした企業が多く存在するのが現実ではないか。
日本のトップ企業や世界のトップ企業では生産性が高く、合理性で判断しないカルチャーを「怠慢」と断ずる考え方に支配されている場合が多いはず。しかし、実際のところ世の中はそれほど合理的・効率的に動いてはいないのかもしれない。
企業だけでなく、行政や政治を見ると、如何に非効率的な動きをしているかよくわかる。
- モノゴトの二面性
「非生産的な世界が大部分である」と書くと、ネガティブに聞こえる。なぜか?生産的であることを「善」ととらえているからだ。
なぜ生産的だと善なのか。より少ないエネルギーでより価値のあるものを生み出すから。
ここまでは正しいかもしれない(そもそも価値って何?という議論になると何が善かは混沌とする)。
しかし、「非生産的な世界が大部分である」ことは、その中で競争するという観点でみると非常にポジティブにも捉えられる。つまり、大部分が牧歌的な仕事の仕方をしているのであれば、そうした集団に入り、自分にとって通常の「生産的な仕事」をうまく伝えることができれば、生産性向上に寄与できるし、当該集団の中でスキルを評価される。生きていくのにしばらく困らないだろう。
しかも活躍の場は、企業、行政、政治、教育、地域コミュニティはもちろん、インターネットやSNSを駆使することで場所を問わず不特定多数の人間に発信できるし、英語を使うことで世界中に発信可能だ。
こうして捉えると、一つの事象をネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるかは、モノの見方に過ぎず、いずれが正解ということもない。
- 5年、10年先を読むこと
テクノロジーの進歩が驚くほど早い現代において、10年先を「正確に」読むことは誰にとっても不可能に近い。しかし、現状を把握した後、10年後どうなるかを可能性として予測することは十分可能だ。
また、世界の潮流を的中させる必要もなく、自分の10年後、5年後、3年後、1年後は具体的に考えておくに越したことはない。
「人間は、ビジョンがなければそれ以上のものに到達できない」というのは古くから言われていることで、やはり計画を立て、実行のためにコツコツ行動する、ことが最重要。
1年、3年、5年の計画を再度引き直すこと。仕事、金(投資)、趣味、知的好奇心、教育、住居、といったジャンル毎に考えてみること。