記録の力 / The power of Recording

Taking notes, reviewing them to improve productivity is fun. Will see how I can improve myself by recording all sorts of things.

君主論

 

 

8年前に読んだ時は、「恐れられるべきか、慕われるべきか」という論点のみ記憶に残っていた。それ自体は重要な内容の1つだったが、君主論で今回重要だと感じた点は随分違った。

 

重要な点は、人間の美徳として多くの資質が挙げられるが、君主(リーダー)として現実世界で生きていく場合にそれら全ての資質を保持することは必ずしも有益ではないということ。

 

そしてより重要なのは、そうした美徳を備えているかのように振る舞い、悪徳を持っているように非難されることがあってもそれをかわす術を会得していること。

 

言い換えれば、美徳だけでなく悪徳をも恐れず、臨機応変に時流の流れに合わせて自己の行動様式すら変えるのが大切ということ。

 

かつて自分自身でも、会社内での生活を振り返り、同じ結論に至ったのが印象的。すなわち、実際に自分自身がどう考えているかよりも、第三者から見てどのように見えるかと言う点により注意を払い、うまく立ち回ることで仕事の生産性や自分の精神的ストレスを和らげることの有用性だ。

 

印象的な点として、大多数を占める大衆からの支持を得ている限り、少数の判断者が行動に出る事は難しくなると言うこと。実態を知るのは少数の人間しかおらず、大多数の大衆からすれば見た目以外に中身はわからない事に起因する。

 

現在のSNS世代においては、近場にいる少数の人間が個人としてSNSを発信し、その他大衆にも実態を広めることが可能であるため必ずしもマキャベリの提言は妥当しない。

 

しかしながら多数の賛同を得る事の重要性については変わらないので利用する価値はある。

 

約600年前に書かれたこの本は、リーダーとして長く権力の座にあるために必要な事は何かについて詳細な分析がされており、現代の組織の中においても充分通用する有用な示唆に飛んでいる。読んでいない人も多く、経験からこうしたポイントを抽出するためには多くの時間と労力がかかるだろう。

 

本を読むことの利点はこうした点について、多少の実体験と多少の読書時間によって、膨大な時間を要することなく示唆されている内容を咀嚼し、現実世界で活用することができる点にある。

 

やはり娯楽としての読書体験もさることながら、現実世界でより効率的に、生産性を上げて生活するためには、より多くのこうした他者による分析を活用することが重要だ。「現役を引退してから、あるいは時間ができてから読書をする」のはその意味でも極めて非合理的な行動と言わざるを得ない。