【抽出】
- 空気の支配→対象に支配されること
ある対象が存在した場合に感情移入してしまう。その感情移入が絶対的なものであるために、感情移入していることにすら気がつかない。このメカニズムによって、自分自身が対象に支配される。これが「空気の支配」と言うもの。
- 絶対的な感情移入はダメ
これを避けるために、対象を相対的に把握する必要がある。相対的な視点を持つことで大局を掴む、すなわち、対象から自由になることが必要。対象の相対化が一貫しているのが旧約聖書。
- 責任転嫁
多くの日本人がたどってきた過ちとして、「情況に対する自分の対応は正しかった」として自分自身は悪くない、悪かったのは情況だと責任転嫁する癖。
- 対象の交換に堕する
「対象を相対的に把握すること」と似て非なるものとして、対象を常に交換・変化させる事象がある。これは対象を交換しただけで、感情移入の絶対化を回避出来ているわけではない。
【感想】
多くの視点を持つこと、相対的な視点の重要性はよく聞く。また物事を二元論的に考えず、曖昧さを許容する考え方も指摘されている。
価値観の多様性を認め、他の考え方を柔軟に理解することで、自己を確立するというものだろう。
賢い人の考える事は最終的には似通ってくるのか。
本を読むと感動的な概念やコンセプトに出会う。その良いコンセプトを取り入れることで自分の生活やスキルを改善しようと試みる。こうして自分を向上させてきた。
例えばこのやり方そのものが、「対象に感情移入し、臨済的把握」をしていないか。対象から対象へ移っているだけで、その対象を吟味することなく取り入れているのであれば「空気に支配されている」ということ。
この本で提案されている概念そのものをを絶対的な正しい方法と捉えることなく、その是非や妥当性も吟味した上で(対象を吟味した上で)、より良い改善策を考えるのが重要。