記録の力 / The power of Recording

Taking notes, reviewing them to improve productivity is fun. Will see how I can improve myself by recording all sorts of things.

秘密

 

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

 

 

  • 男の嫉妬心の醜さ
  • 安心したいと言う欲望
  • 自分が取り残されると言う焦り
  • 三者の偉大さを知ることによって自分の行動を変化させる、信念のなさ

 

  • 自分が愛する人の幸せを第一に考える行動指針

 

  • 個人にとっての幸せとは何か

 

小説で読む分には、潔い行動をとったバス運転手の行動が好まれるのは明らか。ただし、小説ではなく実際の人生の中で、誰にも褒められず、むしろ世の批判を一身に受けるだけの生き方を選ぶ事は極めて難しいだろう。

 

現実の世界では自己保身、批判の回避が第一の人生目標になってしまうのが通常か。

 

自分にとって幸せは何か。他人からの評判か、身近な自分の信じる人からの評判か、自分自身の信念に従って生きることか。

 

ほとんどの不幸は、自分以外の第三者からの賞賛を求めて生きることに起因しているようにも思う。だとすれば自分の信念・信条を明確にした上で、それ以外の第三者からの評判を一切考えず、自分の信条に従った生き方を求めることが最も簡単に幸福に到達する道となるはずだ。

 

言うのは簡単だが、実際にこれを行う事は難しいのだろう。理由は、誰かに褒められることが自分の幸せと錯覚しているから。

 

 

 

誰かに褒められているその瞬間はとても幸せと感じるかもしれない。しかし10年後ほめた人は褒めたことを覚えているだろうか。30年後ほとんど誰も覚えていないのではないか。覚えているのは自分だけで、にもかかわらず他人の評価をそこまで気にする必要はどこまであるか。必要の有無と言うよりも、他人にそこまで依拠することの滑稽さにいつ気付けるか。これによって少なくても精神的な余裕は大幅に変わってくるようにも思う。

 

  • 男の嫉妬について

 

正直平助が真子に抱いていた嫉妬心は異常だ。これは単に異性への嫉妬心のみならず、おそらく自分自身は中年になっているにもかかわらず、真子が肉体的には10代に戻ってしまい、かつ、精神的にも前向きに舵を切ったため、自分だけが肉体的にも精神的にも取り残されたような気分になっていることから生じている。言い換えれば、自分の怠慢を棚に上げているだけだ。

 

この小説が書かれた20年前、もしかすると男性の向上心は今と比較して著しく低かったのかもしれない。一定の年齢に足した後は、全力で好奇心を追求するような人間は少なかったのかもしれない。

 

単なる異性への嫉妬心だけでここまで嫉妬できるとすれば、その男性の魅力は極めて小さいと感じる。

 

ただし、好きになった異性の行動を探りたくなる気持ちはわかる。しかし探れば探るほど惨めになるし、探った結果自分の期待する状況と異なる真実を見た場合、余計に精神的に参ってしまうだろう。スリルを求めるためだけにそうした盗聴や監視をするのは良いかもしれないが、結果的に良い事は何もない。

 

スリルを求めて中毒と化す気持ちはわからないでもないが、メリットがないことを早めに認識して行動を変えるべきだろう。